「眞子 いいか」
彼の吐息が私の頬をくすぐった。 「ふっ…」 熱いキス。もう、これだけで溶けてしまいそう――彼の手が私の胸を包み込んだ。 あっ……思わず声が漏れる。 甘い快楽の予感に身体の芯がとろけていく。 彼の指がゆっくりと私のドレスにかけられた。 熱い……肌が触れ合うだけで感じてしまうほど、身体中が敏感になっている。 吐息、指、視線…それらすべてが私の肌に触れるたび、自分でも驚くほどの甘い声が漏れてしまう。 彼は私を抱き上げベッドに運ぶと、そのまま激しくキスをした。 なにも考えられなくなるようなキス。 (どうして…こんなことに…) 「眞子」 熱のこもった低い声で名前を呼ばれると、体がかっと熱くなる。 抗えない。 止められない。「君はいつも午前0時前に帰ってしまうシンデレラだ。でも、今日は帰したくない」
彼の唇が私の首筋を這い、熱い吐息が肌をくすぐる。肌にまとわりついていたドレスを丁寧に脱がせ、露わになった胸先に触れる。
「んあっ…!」
情熱的な刺激に思わず悲鳴が上がる。何度か繰り返され、やがて彼は私をうつぶせに寝かせると、背中にキスの雨を降らせた。
そして……唇が背中を這う。この人は秘密が多すぎる。
今ならまだ引き返せる。この手を払い、ひとこと「やめて」と言えば、彼は無理強いしたりしない。ホテルの壁時計を見た。もう、針は0時を回りそう。
引き返すには遅すぎた。戻れない…。
この人とひとつになることを、私は望んでいるから――…「結婚、おめでとう―――」 駆けつけた友人たちの掛け声と共に、私の目の前でフラワーシャワーが舞った。 純白のドレスとお揃いのふわりと広がるチュールボレロはオフショルの肩を優しく包み、ハイネックにも白い上品なレースの刺繍が散りばめられている手の込んだ一品。その白い花はまるで本物の花に見まがうほどの出来栄え。 そんな美しい純白のウェディングドレスに包まれているのは、小学校からの親友、増山百花(ますやまももか)、二十九歳。今日の彼女は、人生の中で恐らく一番輝いていて美しい。 しかし何故、彼女は私の目の前でこんなに美しく輝いているのだろうか。 というのも、彼氏ができないと、つい二か月ほど前に彼女と女子会と称した飲み会でぼやき、愚痴ったばかり。寝耳に水な話で驚きを隠せない上、微妙に裏切られた気分になっているのはなぜだろう。 こうして私は今日、仲のいい友人たちの中でいよいよ最後のおひとりさまとなってしまった。 いや、でも、彼女の幸せを祝福したい! おめでたい席で後ろ向きな発言はダメだとは思うけれど。 気を利かせてか、私を見てウィンクした彼女。ブーケを投げてくれた百花の優しさというかおせっかいというか、キャッチしてしまってから言うのも何だけれど、複雑な気分になってしまう。 もやもや。「眞子ぉ――。来てくれてありがとう!」 百花は現実主義なのであまりお金は掛けず、アットホームな結婚式に落ち着かせた。披露宴中、高砂席に座った百花に挨拶に行ったら、ぎゅーっと抱きしめてくれた。 彼女の破顔した顔を見ると、小さなことでもやもやしている自分が恥ずかしくなってしまう。親友の祝福を心からしたいのに、もやついている自分が悪に思えた。「百花が幸せになるのは嬉しいけれど、ちょっと淋しいよー!」 気を遣わない友達だからつい本音を言ってしまった。いいよね、少しくらい。幸せを祝う気持ちは十分にあるのだから!「そうだよね。私も眞子の立場だったら、同じように思う! だからさ、いいこと教えてあげようと思って!」 スマホ貸して、と百花に手を伸ばされたのでそれに従った。「実はさー、今日の相手、婚活アプリで見つけたんだぁ」「こ、婚活アプリぃ!?」 なんと! 利用が初めてだった百花は、マッチングした一人目の相手と速攻で意気投合からのゴールインだと言う。 そんな…いきなり一人目で
「眞子先ぱぁい! 朝からどうしてそんな怖い顔しているんですかぁー?」 勤務地のさくら幼稚園に到着してすぐのこと。 一向に『いいね』受信が止まらないので、スマートフォンを片手にどうしたものかと困っていたら、後輩の鮫島理世(さめじまりよ)が声を掛けてくれた。目力のあるパッチリとした顔立ちに、ショートカットが良く似合っている。現在二十五歳の彼女は、エネルギーに満ち溢れている。子供たちに人気の教員だ。「あ、理世ちゃんおはよう」「んんっ、眞子先輩がついに! 婚活アプ…もが」「しーっ。声大きいっ」 スマートフォンの画面をのぞき込み、大声を上げて現状を説明しようとする後輩の口を押さえつけた。「実は――」 昨日、独身最後の親友が私を哀れん、勝手に婚活アプリを登録してしまった経緯を説明した。「それで、メッセージがいっぱいきちゃって、どうしていいのか全然分からないの」 とりあえず写真は無し、名前を眞子だから『M』、年齢二十九歳と生年月日のみ嘘偽りなく登録している。勿論独身なので、登録する時に独身にチェックも入れて。 たったこれだけの情報なのに、私にメッセージを送ってくる人が多すぎてスゴイ。もうびっくりする。 「こんな所へ登録する男は、みーんな出会いを求めていますからねー。女性とあれば誰でもメッセージを送る人が多いみたいですよぉ」「そうなんだ…やっぱり怖いし使うの止めよう」「いやいやいやいや、勿体ないです! わかりました。日頃のお世話に感謝を込めて、私が眞子先輩にアプリのレクチャーをして差し上げましょう!」 理世ちゃんは、婚活アプリというか、出会い系アプリの達人のようで、詳しくアプリについて教えてくれた。 先ず、登録すると初回サービスである程度のポイントが貰えて、『いいね』を送れるようになるらしい。本来このポイントは、基本的にお金を払ってサイト上で買うらしい。マッチングさせる時や、『いいね』を送る時、このアプリの様々な機能を使う時に、ポイントを使うシステムになっている。 しかし、いきなり初回の相手からポイントを奪取するとなると、利用者が誰も使わないので、ある程度の無料期間やポイントサービスがあるらしい。 因みにこの婚活アプリは『Love Sea(ラブシー)』と言い、女性は登録後三日間だけ、男性に対して無制限で『いいね』を送って相手が『ありがとう
とりあえず、ゆうたさんのプロフィール、更に送ってくれたメッセージを見た。「ゆうた」二十七歳会社員、年収五百万円以下、喫煙しない、飲酒しない、暇さえあれば釣りに行くほどアウトドア大好き。 彼の容姿は、ふわっとした柔らかそうな髪を清潔にまとめていて、カジュアルルックな写真。目は細くて優しそうな印象を受けた。年下なので、どこか頼りない雰囲気があるのは否めないが、可愛らしいのがウリなのかもしれない。――こんばんは、マッチありがとうございます! 僕は都内在住の会社員で、趣味は釣りでアウトドア好きです。とりあえずお友達から始めましょう! メッセ待ってます! Mさんはキャンプ好きみたいだけれど、何処へキャンプ行くのですか?(ゆうた) ゆうたさんは、簡潔な自己紹介と趣味が合いそうだとメッセージをくれていた。メッセージアプリだから、誰からのメッセージで、どのようにやり取りをしているかがすぐに解るようになっている。 話の合いそうな事を相手から質問されていて、会話が途切れないようなメッセージ。心遣いを感じる。初対面だもんね。とりあえず返信しよう。――ありがとうございます。今回、お友達に勝手に登録されていまいました。初心者なので、失礼があったらごめんなさい。最近はキャンプ行けていないです。仕事が忙しくて。ゆうたさんは休日に釣りへ行かれるのですか?(M) 当たり障りのない返事を送ってみた。 続いて見たのは「I.N」さん。三十一歳、ヘルスケアアプリ販売・大手企業、年収八百万円以下をタップすると、ヘルスケアアプリを扱っているだけあり、細くイケメンの雰囲気がした。ツンとした髪が印象的で、堂々と自己写真を利用している事から、自信があるのだろう。プロフィールに登録できる中の写真に犬と一緒に映っている写真もあって、犬好きの模様。――こんばんは。Mさん、マッチング申請ありがとう。僕も読書好き。Mさんはどんな本が好き? 年齢同じだから、敬語なくていいよ!(I.N) はー、流石だなぁ。こっちが会話が続くようにメッセージを送ってくれている。同じ年齢というのもあって口調がくだけているから、話しやすそう。 なんか、慣れてるなぁ。私と大違いだ。――こんばんは。メッセージありがとう。敬語ナシって嬉しいよ。好きな本は恋愛系の小説かな! 犬好きなんだ? 私も好きだよ。I.Nさんの飼い犬、かわいい
親友内で唯一の独身仲間・増山百花を見送り、婚活アプリを登録したあの日から一週間ほど。週明けの月曜日は忙しく、今日もクタクタになった。 幼稚園の仕事は、思いの外沢山ある。 私の勤めているさくら幼稚園はまだいい方だけれど、定時が決まっていても思うように退勤できなかったり、持ち帰りの仕事も多くて大変だ。でも、子供たちの成長や笑顔に癒されているから、この仕事は辞められない。私の生きがい。 一通りの家事と食事を終え、お風呂に入って疲れを癒す。はー。この時間が一番好き。お風呂ってどうしてこんなに気持ちいいんだろう。好きな入浴剤を入れて、好きな匂いに包まれるこの至福の時間。最高だ。 リラックスしてお風呂から出ると、もう午後九時半。そろそろお誕生日会をするから、子供に被せてあげる王冠を作らなきゃ。今、六月だから六月生まれのおともだちは―― 子供たちの誕生月を一覧にした自作プリントを見ると、小倉 昌磨(おぐら しょうま)君と、羽鳥 聖也(はとり せいや)君となっていた。 あぁ…聖也君かぁ。羽鳥という名を見て、憂鬱な気分になった。 聖也君はとてもいい子だから、彼に問題がある訳ではない。問題は――お母さんだ。 彼の母である羽鳥恵里菜(はとりえりな)さんは、大変気厳しい方だ。園でも彼女がモンスターだと専(もっぱ)ら評判の持ち主。担任になった先生方は、何時も疲弊させられている。 その羽鳥さんに、今年遂に私が担任のクラスで当たってしまったのだ。 現在、さくら幼稚園での私の受け持ちクラスは年長のそら組。 聖也君は大人しくてとてもいい子なのだけれど、若干のアレルギー持ち。食べてはいけないとされる除外食品に頭を悩ませている。 軽度のアレルギーなので、除外食品を口にしても生死に関わる問題は無いけれど、舌がしびれたり、場合によってはじんましんが出たりするので、気を付けている。 給食等はしっかりとした管理体制で気を付けているから
あれから、I.Nさんとゆうた君とは、友人とやり取りするようなライトな感じでメールのやり取りを行っていた。玄さんから特にメッセージは無く、Takaさんは仕事が忙しいみたいだけれど、時々長文の熱量すごいメッセージをもらっている。 Takaさんとの会話は、基本的に食べる話が多いかな。残業続きでゆっくり時間が取れないから、絶対今後ご飯を食べに行こう、と熱心に誘ってくれている。何時になるか解らないけれどね。 I.Nさんは犬が好きらしく、犬の話題は大変喜んでくれたが、正直そこまで犬好きでなく詳しくないので、話に付いていけない所が多々あった。ゆうたさんとは楽しいメールのやり取りをしている。――こんばんは、仕事終わり? お疲れ様!(ゆうた) ゆうた君からのメッセージだった。フランクに話せるゆうた君からのメッセージは、ささくれていた心に温かな灯を点けてくれた。メッセージ、嬉しいな。 ゆうたさんと最初の頃は呼んでいたけれど、年下だから『ゆうたでいいよ』と言ってくれたので、ゆうた君と呼ぶことにした。もともとアウトドアの話が合うので、秘密のキャンプ場や秘密の渓谷の話で盛り上がった。――ありがと。ゆうた君も仕事終わり?(M) メッセージを返していると、もう一通メッセージが届いた。こっちはI.Nさんだ。――お疲れ。今度ドックフェアあるけど行かない?(I.N) ドッグフェアかぁ・・・・。犬好きの温度差がある事に、I.Nさんは気づいてくれてないのかな。 正直気乗りしないけれど、仲良くなった人の趣味や趣向を理解しようとするのもこちらの努めかと思い、いつ開催されるのか、と返信した。 ――イベントは二週間後の日曜日。Mちゃん都合つく? 会おうよ(I.N) そっか。会うのか。ちょっと緊張するけれど、イベントだったら楽しくデートみたいな事、できるか
私が恵里菜さんの電話対応をする時、宥(なだ)めるのに一時間はかかってしまう。理世ちゃんは割と『はい、解りました、以後検討します』みたいに言って、そのまま相手が喋っているのに電話を切ってしまうのだ。再度電話が鳴る事はないから、不思議だ。私もその強いメンタルが欲しい。「とにかく、待ち合わせ場所が遠いのは仕方ありません。相手は先輩がどこに住んでいるのか知らない訳ですし、下手に家が何処か聞いてホイホイ車で迎えに来るよりも、先輩がお付き合いする男性はそっちの方がいい気がしてきました。いきなり家聞いたりしないから、まあ、遊んでいない普通の人じゃないでしょうか。このテのタイプ、私は無いですけどね」「ええー。じゃあ、理世ちゃんはどういう感じでお付き合いするの?」 手練れの理世ちゃんが、出会った人と付き合いを決めるのか参考に聞いてみたい!「私は飲むのが好きですから、先ずは都内のバーで一杯飲む所から始めますね。会ってから言葉遣いや清潔感があるかどうか、どういうエスコートをしてくれるか、身に着けているものはどんなものか、全部チェックします。勿論黙って」「へええ」「簡単なメールのやり取りをしたら、お奨めの店を紹介し合うんです。一杯飲みで終わるか、いっぱい(たくさん)飲みになるかは、相手次第ですよ。趣味が良かったり、エッチ目的でなければ、付き合います。因みに今の彼氏は、マッチングで半年くらい続いているんですよ」 マッチングの相手が彼氏に昇格するんだ! うう、婚活アプリ、深い! 私もそうなりたいな。 「全体的な相性はいいですね。お互い飲むのが好きなので、お酒の話とかできて楽しいです。お店巡りとかもしますし」「へえええー」 やっぱり趣味って大事よね!! ドッグフェアに行っても、I.Nさんとの温度差を感じそうな
誕生日会当日。 六月生まれのお誕生日の小倉昌磨君と、羽鳥聖也君を教卓の前に呼び、手作りの王冠を被せた。おめでとう、とお祝いをして、私がピアノを弾き、みんなでハッピーバースデーの歌を歌った。 誕生日会は滞りなく進行し、本日の給食もお誕生日用の特別給食で、みんなでわいわい楽しく頂いた。お誕生日の特別メニューは、『ポテト』や『唐揚げ』や『ハンバーグ』等、特に子供たちに人気のおかずが中心に提供される。 どうしても通常の給食は栄養バランスをメインに考えられているから、味が苦手で残してしまう子もいるけれど、特別メニューは誰も残さない。普段から頭を悩ませ、美味しくて栄養のある給食を作って下さる職員の方々には、感謝しかない。 子供たちの笑顔が見る事が出来て、私は幸せ。 そんな給食の時間を終え、一歳児や二歳児のお昼寝も終わり、通常保育の子供たちは午後二時のお迎えも終わり、大きな事件や子供たちが怪我をする事もなく、何事も無く時間が過ぎた。 しかし事件は、夕方遅くに起こった。 預かり保育の当番だったので退勤時間の午後五時まで、指定の教室で子供たちを見ていると、園に電話がかかって来たのだ。夕方は職員が減るので、電話対応できる人が少なく、長いコール後に取る事も多い。人手が少ないのだ。 職員室に居ないので、随分長いコールが鳴っているな、と思っていたら、さくら幼稚園主任の大林先生が慌てて教室内に入って来た。「清川先生っ、すみませんがお電話対応頂けますかっ。大変です!」「どうされましたか!?」 血相を抱えて飛び込んで来た大林先生に声を掛けた。御年五十歳のベテラン教員の大林先生は、この園の主任を務めていらっしゃる。 彼女が黒いおかっぱの髪を振り乱しながら私に言った。「羽鳥聖也君のお母様からお電話で、清川先生に代われと大変な剣幕で…」「羽鳥さん?」 思わず眉根を寄せ、険しい顔を作ってしまった。また、聖也君のお母さんだ。 彼女からなにを言われるのだろう。心当たりがなにもない。
「いかがされましたか?」『いかがされましたか、じゃないわよ! 一体どういうつもりかって聞いてるの!』 こういう人は要件を端的に言ってくれない。どうしたのかと聞けば、そんなこともわからないのか、と喚き散らして罵ってくる。理由も大抵理不尽な事ばかり。今回はなにかな。早くも胃が痛みだした。『私がこうやって電話をかけてきている理由もわからないなんて!』 予想どおりだ。要件を言ってくれないから、なにに対して怒っているのか理解できない。「申しわけございませんが、羽鳥さんが怒っていらっしゃる理由がわからないので、教えていただけませんか?」 『今日持ち帰ってきた王冠よ!』「王冠ですか…」 思わず呟いてしまった事に、彼女はますます逆上する。『まああっ、まだわからないの!? うちの聖也ちゃんに、わざと小さい方を掴ませて! 昌磨君のもらった方が大きかったのよ! 明らかな差別よ!!』 この人はなにを言っているのだろう。王冠は同じ型紙で同じ大きさで作っているのに、見た目だって殆ど同じなのに。「お言葉ですが羽鳥さん、昌磨君だけ大きなものを作ったとか、そんなことはありません。この王冠は私の手作りですが、同じパターンから作りました。私のモットーは子供たちには平等に接する事で、常にそうであるよう心がけています。誤解です」 私は必死に訴えた。羽鳥さんは、どうしてこんな勘違いをしてしまうのだろう。昌磨君の王冠の方が大きいなんて、そんなことはあり得ない。どうしてそう思ってしまわれるのか不思議で仕方ない。『平等!? ふざけんじゃないわよぉっ!!』 耳をつんざくような金切り声がしたので思わず受話器から耳を少し離した。それでも十分彼女の声は聞こえる。電話口から漏れる大声が職員室に響いた。『いったい、どこをどうしたら平等だなんて偉そうに言えるの!?』「あの、羽鳥さん、手作りの王冠ですから、大きさを変えたりするようなことはありません。どこがおかしかったのでしょうか?」『まだそ
翌日。Takaさんと食事へ行った結果を理世ちゃんに報告した。「無いですね」 一言ズバっと頂きました。「ありえません。画像詐称も酷いし、性格も最悪なんて。まさかの大はずれでしたね」 酷い言い草だとは思うけれど、同感だった。アプリで通じた相手でなければ、一緒に食事へ行こうという気になれない人だったから。「ブロックしちゃいましょう」 理世ちゃんは私のスマートフォンをタタタと操作し、Takaさんをあっと言う間にブロックしてしまった。躊躇は一切せず。 いいのかな…。「とりあえず残り二人いますよね。頑張ってみてダメだったら次行きましょう。私の知り合いを紹介しますから!」「ありがとう。このままアプリ続けて大丈夫かな…」「婚活アプリあるあるなので大丈夫です。本名は伝えてないでしょ? ブロックしたって先輩が誰であるとか、わかりませんから。こちらに落ち度は一切ありません。宝くじ買って、大はずれしてガッカリしちゃったようなものです。気を取り直して行きましょう!」「理世ちゃんが居てくれるから安心だよ。ほんとに助かる」「とにかく、残りのゆうたさんと玄さんが、アタリかもしれませんから」 理世ちゃんの言う通り、ゆうた君はアタリかもしれない。玄さんは正直まだよくわからない人だけれど、他愛もないやり取りは交わすような仲になった。愚痴友みたいな感じ? 今度時間が合えば、飲みに行こうという約束をしてそのままだ。 今日は特に問題も無く一日が終了した。無事に一日を終えられる喜び――この平和が何より嬉しいと感じる今、私の心は重症だと思う。本気で今年度限りで退職しようかなと思ってしまう。 聖也君は今年卒園だから、今季だけ耐えればいいかもしれないけれど、今までの自信もプライドもぶち壊される勢いでの説教は、自分の中で消化しきれなくて心の中に沈下している。それを引きずりながら来年も仕事と思うと、不安に駆られるし憂鬱になる。うまくやっていける自信がなくなってしまった。 聖也君に罪はないから、今まで通り分け隔てなく接するつもりだけれど。 羽鳥さんが怖いからと言って聖也君を贔屓にするのは違うと思うし、私は絶対そんなことはしたくない。 久々に早く帰宅できたのでゆっくりお風呂に入ろうと思い、張り切って掃除をして湯を沸かした。 沸いたばかりの湯船にとっておきの薬剤を投入した。
「こんばんは、羽鳥さん」 私に挨拶をしてくれた彼は、羽鳥聖也君のお父さんだ。コックの恰好をしてマスクを着けていたが、聖也君によく似た大きな瞳が特徴的なので、すぐにわかった。 そう言えば羽鳥恵里菜さんが『うちの夫は蓮見リゾートの料理長をしている』と自慢していたっけ。「こちらにお勤めだったのですね」「はい。以前は別の店舗勤務でしたが、このホテルが新規オープンしたので呼ばれたのです。いい食材をふんだんに使っているので贅沢なバイキングですから、先生もご堪能いただけると思います。デザートも美味しいですよ」「はい、ありがとうございます」 こんなところで知り合いにあうなんて。しかもTakaさんの連れと思われるの嫌だなぁ。全部で四組しかいないから、絶対見られてるよね。「聖也がいつも清川先生を褒めていますよ。幼稚園も楽しいと言っています。これからもよろしくお願いします」「はい、こちらこそ」「清川先生にお礼が言いたくて、お食事中につい声を掛けてしまいました。申し訳ございません。ごゆっくりどうぞ」 モンペと揶揄される彼女の伴侶とは思えないくらい丁寧な人だ。レストラン勤務の料理長ともなれば、忙しいのだろう。昨今の幼稚園参観や行事参加は、夫婦揃って来ることが増えている。しかし聖也君は殆どが母親の恵里菜さんだけの参加だった。 稀に夫婦で参加する時は借りてきた猫のように大人しいことから、恵里菜さんの本性を彼が知らない可能性がある。 今度の七夕まつりは夫婦揃って参加して欲しいな。恵里菜さん、きっと大人しいだろうから。「声をかけてくださってありがとうございます。お仕事頑張って下さい」 当たり障りない言葉をチョイスし、会釈してデザートコーナーへ向かった。料理はもういいや。食べるのしんどい。 専用のコーナーには色とりどりのデザートが並んでいた。どれも生の果物を使っていて、贅沢なスイーツに仕上げたものがずらりとこの空間を彩どっている。まるで宝石のよう。 撮影可能と書いてあったので、折角だからとスマートフォンで写真に収めた。どの
Takaさんはプロフィール画像と全然違う人だった。 真面目で堅物そうなイメージは同じだけれど、体型の細さが全然違う。確かに彼の顔だけれども、プロフィール画像の三倍くらいは横幅がある。巨漢と言ってもいい。 髪の毛もオイルを塗りたくっているのか、てかてかしている。もしかしたら汗や脂なのかもしれない。 全体的によく見せるために修正した、とかそういうレベルではない詐称だった。「君がMさんだよね? うわあ、想像よりずっと綺麗! 素敵な女性だ!!」「あ、ありがとうございます」 熱量凄いから本人である事は間違いない。Takaさんだ。「さあ行こう!」 肩を抱かれる勢いだったけれど、流石に初対面でそれは遠慮したのか、彼は私の一歩先を歩き出した。エスコートをしてくれているのだと思う。 今日のお店は都内に新しくできたばかりの蓮見(はすみ)リゾートホテル内にあるレストランのディナーバイキング。場所がそんなところだから、初期設定の値段は結構高額だった。 一泊十万円以上するリゾートホテルの新たな試みとして、バイキングが発足されたばかりだ。今までの蓮見リゾートはバイキング等は一切やらなかったらしいから、ちょっとした話題になった。そんなディナーだから、一人一万五千円も値段が付いている。オープン記念に近隣で配られていたチラシ持参で三千円引きにして貰えたが、それでも一人一万二千円。飲み物は別途料金になるだろう。これは高すぎる値段設定。庶民の私にはおいそれと行けない場所だ。 滅多に立ち入る事の出来ないホテルの上層階で、美しい夜景を見ながら頂く食事。全ての席がゆったりとして、窓際に位置されている。この素敵な贅沢空間に、お客様は私とTakaさん以外、他に三組ほどしか入っていなかった。盛況しているようには全く見えない。それで、全然お客の入っていない穴場だと言われてしまったのだろう。別の意味で話題を呼んでいるらしいけど。 バイキングなので好きなものを取りに行き、改めてTakaさんと対面した。サラダとブランド牛肉、生サーモン、アクアパッツァなどを白いお皿に少しずつ取ったものを置いた。彼は専用の白いお皿にめいっぱい料理を乗せ
「それより先輩、婚活アプリでやり取りしている他の男性はどうですか? やりとり続いていますか?」「うん、。Takaさんは今度ご飯食べにいこうって約束して、来月七夕まつりが終わったら食事をしようと思っているの。玄さんは飲みに誘ってくれたから、場所を聞いて飲みに行こうかと」「へええ…!」理世ちゃんは嬉しそうだ。「眞子先輩がそんなに積極的に同時進行できるなんて、びっくりしました!」「あ、適度にやり取りしているよ。他愛もない話が多いけど。食べ歩き好きだからっていプロフィール見てくれているから、ご飯行こうってTakaさんが誘ってくれて。玄さんは丁度羽鳥さんに酷いお説教されたときに話聞いてくれたし、悪い人ばっかりじゃないのかな、普段繋がっていない分、逆に本音が言えたりするのかなって思ってる」「I.Nは論外ですけど、素性が解らないっていうのはそういう意味でも今の社会には必要なのかもしれませんね」「そうそう。理世ちゃんのお陰でI.Nさんの動向が知れたし、気を付けなきゃって改めて思った。本名はもう絶対に言わないし、相手の事をもっとちゃんと知ってから、自己紹介するようにする」「先輩…眩しいくらい純粋ですね。本当にI.Nに騙されなくて良かったです!」「そうだね。今は却ってすっぽかされて良かったなって思う。正直、犬のイベントなんか行ってもよくわからなかっただろうし、無理して相手に合わせるのはもう止める。これもいい経験だと思って次に生かすよ。理世ちゃんがいっぱいアドバイスくれるから助かってる。ありがとう」 このしっかり者の後輩のお陰で、I.Nさんのことを引きずらなくてすむ。 あのままだと、私が好みじゃなかったからだろう、とか、どこかで嫌な思いをさせてしまったんだ、とか、そういう風に自己否定につながる考えをしてしまっただろうから。「とにかく、残りの三人頑張って攻略しましょう!」「そんな…ゲームじゃないんだから」 愉快な後輩の言い方よ。「恋愛はゲームみたいなものですよ。上手くクリアして、晴れてお付き合いできるのですから」 成程、一理ある。「
「え――っ、ありえなくないですか!?」 月曜日の朝、園に着いてすぐ開口一発。理世ちゃんの文句から始まった。 それは、彼女に日曜日のこと――つまり、I.Nさんが待ち合わせに来なくてゆうた君とデートすることになったと伝えたからだ。「まさかのブッチですか。信じられないっ」 理世ちゃんがめちゃくちゃ憤慨している。「眞子先輩。ちょっとその男のプロフ、見せて頂いてもいいですか!?」「これなんだけど」 ものすごい剣幕なので、私は断れずにLove Seaアプリを開いて理世ちゃんに渡した。「あ――っ、やっぱり!」「どうしたの?」「I.Nさん、アプリ退会してます。急なブッチしたりする人ってワケアリが多いんですよ」「ワケアリ?」「ええ。例えば、奥さんや彼女がいるのに出会い目的で独身と偽ってアプリを利用して、それが伴侶にバレるパターン。それはもう、強制終了ですよ」「きょ、強制終了…」 それは、離婚や別れが待っているということね。「退会までやっているので、今回の場合は違うと思いますが、こういう人もいます。待ち合わせした女性が好みじゃ無かったら、平気でブッチしちゃうんです。あ、眞子先輩は綺麗だから、絶対大丈夫ですけど!」「そっかぁ。やっぱりアプリで素性の知らない人っていうのは、怖いんだね」 胆に銘じておこう。「すぐ退会する人って、意外に自分のSNSの方で連絡ができるようにしているから、多分連絡先突き止められると思うんですよ。ちょっと待っていて下さいね」 理世ちゃんは自分のスマートフォンを取り出し、スゴイ勢いで画面を打ち始めた。トトトト、タタタタ、と画面を高速タップする様子がすごい。一体何をしているのだろうかと、彼女が見せる百面相を近くで見守った。「先輩、I.Nさんってこの人ですか?」 やがてなにか見つけたらしく、画面を差し出して来た。「あっ! そう! この人
彼は私の容姿を知らないけれど、私は彼の容姿を知っている。ああやって手を振っていれば、きっと私が見つけてくれると思っての事だろう。「ゆうた君!」 私は彼に駆け寄り、挨拶した。「Mです、初めまして。今日は誘ってくれてありがとう」「えっ。君が、Mちゃん?」 ゆうた君が目を丸くした。「うん、そうだよ」 初対面の人と会ってお話するなんて生まれて初めての事だから、ドキドキして目線を少し伏せた。気恥ずかしくてまともに顔を見ることができない。「Mちゃん、すげー綺麗でびっくりした! ラッキーって言っていいのかな?」 笑いながらそう言ってくれたので、思わず顔を上げて見ると満面の笑みのゆうた君がいた。 プロフィール画像そのままだ。ふわふわと柔らかそうな手触りの髪の毛、くりっと大きな目、人懐っこそうな雰囲気、そのまま。偽りなく登録し、嘘をつかない正直な人なのだと思った。「じゃ、行こう!」 先ずは腹ごしらえだよね、と、連れて来てくれたのは、何とスカイツリーの近くにあるムーミンカフェだ!「可愛いー♡」 思わずハートマークを語尾に付けてしまう程、店内はムーミンで溢れていた。 入る前からお洒落な店舗外観、溢れるムーミングッズ、壁一面に描かれたムーミンの仲間たち! レイクタウンアウトレット駅でI.Nさんと待ち合わせていた時とは雲泥の差のテンションになり、笑顔が弾けた。「急いで予約したんだけど、早い時間だから空いててすんなり入れて良かったよ」 わざわざ予約してくれたんだ、と急な約束だったのに、ちゃんとエスコートしてくれようとする気持ちが嬉しかった。 現在午前十一時を少し過ぎた所だ。一時間前の悲しい気持ちから一転、ゆうた君のお陰で楽しい気持ちになった。ホント、彼に感謝!「Mちゃん何食べる?」「――あの、眞子です。Mじゃなくて、清川眞子と言います」 名前を知って欲しくてつい名乗ってしまった。…いいよね。ゆうた君、いい人だもん。「そ
瞬く間に時は過ぎ、一週間なんてあっという間に経ってしまった。今日はI.Nさんとの約束の日。埼玉県越谷市まで東京都足立区から出向く。うーん、やっぱり遠い! 電車に揺られ、予め調べておいた乗り換えアプリで最短移動手段を反芻しながら、約束の十分前にレイクタウンアウトレット駅改札口へ到着。 私の目印は、白のレースのフリルトップスに、黒基調の小花柄のロングスカート、黒のサンダル、ブラウンのリボンが付いた大きめのカゴバックだと伝えてある。見れば解ると思うんだけどな。 Love Seaアプリを開いて、到着しました、と送った。I.Nさんは黒の七分丈のテーラードジャケット、白のカットソーにベージュのパンツを合わせた服装で行くと言っていた。お洒落カジュアルな感じかな。どんな人なのか、待ち合わせの時間が刻一刻と迫る度に、ドキドキと胸が高鳴る。 初めて会う人だけれど、自撮りの写真通り素敵な人なのかな? 犬好きみたいだけれど、会話、ちゃんとついていけるかな? 幼稚園ではパンツルックが多いからあまりお洒落できないし、初対面の人と会うのだからと、今日は張り切ってタンスから洋服引っ張り出して、お洒落したけれど、変に思われないかな? 緊張しながら待つ事十五分。「あの、すみません」 きた――! 「この駅に行きたいのですが、乗り換えが解らなくて、教えて頂いてもいいですか?」 声を掛けて来たのは、初老の男性だった。まさかこの人がI.Nさん――なワケないか。乗り換え方法聞いているもんね。「はい」 見せられた地図を見て、乗り換えの為に降りる駅を教えると、どうもありがとう、と会釈された。 なんか拍子抜け。 そしてまた緊張感を持って待つ。待つ。待つ。 三十分待った。 でも、彼は現れない。 四十分。 五十分。 一時間…。 その間にLove Seaアプリで何度かメッセージを送ったけれど、返事がない。なにかあったのかな? 午前十時を過ぎたので、I.Nさん
それから暫くは平和に過ごした。羽鳥聖也君のお母さんからの攻撃も無く日々の業務に追われた。私は年長担当なので、そろそろ八月に開催されるお泊り保育の準備や内容をしっかりと落とし込みしなくてはいけない。大体テンプレートどおり大きな予定・行事は決まっているけれど、晴天の場合のメニュー、雨天の場合のメニュー、それぞれを考えておかなくてはいけないし、やることたくさん! それに加えて今月末からプール授業が始まる。全クラスのローテーションは組み終わっているから、園のプール準備をして、来月は七夕まつりがあるから、配布用の笹や飾り付け、景品の準備などをやる。 おまつりに出店するジュース・お茶などのドリンク販売の店、キャラクターのおめんを販売する店、くじ引きができる店、駄菓子等のお菓子を売る店、的当てやヨーヨー釣り等ができる露店、さくら幼稚園は色々な模擬店で子供たちを楽しませる。近隣住民の小学生も遊びに来てくれて(大体OBか通園の御兄弟が多いけど)お店の準備が結構大変だ。 そのため、年間で大きなイベント毎にお手伝いをしてくれるお母様を募集し、必ず一人一回はどこかのお手伝いを割り当てる。特に大変なのが七夕まつりと運動会。やってくれる人が少なくて、じゃんけんで負けたお母さんが当番に当たる。子供たちと一緒にお店を回ったり、運動会は子供たちの活躍を見たいものね。気持ちはわかる。 そして、来月の七夕まつりはお手伝いに羽鳥恵里菜さんが当番に当たっている。立候補ではなく、じゃんけんに負けたのだ。しぶしぶ仕方なくの当番なので、どんな文句を言われるかわからない。ああ。考えるだけで胃が痛い。 まあでも、今から来月の事を考えて憂鬱な気分にならなくてもいいかな。 今日はI.Nさんから、来週の日曜日にレイクタウンアウトレットの最寄り駅で午前九時に待ち合わせしよう、会えるのが楽しみ、とメッセージが入った。 もうすぐかぁ。いよいよI.Nさんと会うんだなぁ。 どんな人だろうと思っていると、もう一通メッセージが来た。I.Nさんではなさそうだ。このアイコンは…。――こんばんは、Mさん元気? ちょっと仕事合間に連絡してみたよー。最近食欲
――ジョーダンだよ。ホントは都内。Mさんの旅費、俺に請求すんのかよ(笑)(玄)――こっちだってジョーダンですから(◍•ᴗ•◍)(M)――そっか。それはよかった。じゃ、明日また頑張ろう。嫌なヤツのことは考えるだけMさんの貴重な時間が勿体ない。(玄)――そうですね。玄さん、ありがとうございます。また、メッセージしてもいいですか?(M)――モンペに攻撃されたら、愚痴聞いてやるから連絡しておいで。俺の店に飲みに来てくれるなら大歓迎(玄)――営業うまーい(*´◒`*)(M)――まあね。また今度誘うから。じゃお休み。(玄)――はい、おやすみなさい。(M) 楽しいやり取りをして、Love Seaアプリを閉じた。 玄さんのお陰で、気分が楽になった。 他愛もないやり取りにここまで心が癒されるなんて。 アプリで知り合た人なら、どんなに仕事の愚痴を言っても素性がバレて困ることもないし便利。普段だったら絶対に出来ない。だからこういったアプリの利用が急増しているのかな。 誰でも人には言えない悩みのひとつやふたつ、時にはそれ以上、抱えているもの。 玄さんって、一体どんな人なんだろう。ぶっきらぼうな感じだと思っていたけれど、意外にユーモアある人だった。会ってお喋りしてみたいな。 I.Nさんは、犬のことを話すと嬉しそうにメッセージが返ってくるから犬好きの模様。 ゆうた君とは、最初はアウトドア中心の話に盛り上がったけれど、最近は他愛もないメッセージを送り合っている。友達にメッセージを送る気軽さがあって、見ているテレビ番組の話とか、お笑いの話とか、本当に内容もない話が多いけれど、お互いそれを楽しんでいる。 Takaさんは特に食べ歩きの話が多いかな。まあ、最近Takaさんはお仕事が忙しいみたいだから、メッセージの回数は少ない。一度に長文を送ってくれるから、返信に困るから回数は少ない方が有難いと思っている。 玄さんとは初めて長くやり取りしたけれど、楽しかった。心が疲弊している時だから、余計にそう思っただけかもしれないけれど。